にらめっこ全米大会 "three, two, one. stare!"

「Staredown」というスポーツがあるらしい。(via Bernie DeKoven's FunLog

ルールは単純。1対1でにらみ合って先にまばたきした方が負け。にらめっこと言ってしまうと語弊があるから、「にらみ倒し」とでも言った方が良いか。

そんな子供の遊びが、熱い競技者達によってスポーツになっているという話。

公式協会サイトなどもあり、わりと本気。
中でも特に熱いのは以下のドキュメンタリービデオサイト。Web上で見られる。

Chapter

  • The Ultimate Challenge(究極の挑戦)
  • Qualifying(予選)
  • Origins(出自)
  • Crossing Lines(二人の交わり)
  • Year of the Puma(ピューマの年)
  • Living Legend(伝説的人物)
  • Exposure Keratopathy Syndrome(兎眼性角膜症)
  • March of Champions(チャンピオンの行進)
  • It Ends here(終焉)

普通の主人公Philip Rockhammerが、強烈な個性を持つ王者Tony Pattersonに挑んで行く筋書き。ドキュメンタリー形式だけど、観客が期待する映画的なお約束プロットやネタなどかなりエンターテインメント色の強い展開で楽しい。まあ何にしろ、にらめっこに本気になるという時点で十分バカらしいわけだ。けど熱い。会話の内容もろくに分かんないんだけど、もう構成を見てるだけでちょっとニヤニヤしてしまう。競技スポーツとしての高尚な筋書きに則りながら、扱うのはにらめっこというチープさ。その埋めがたいギャップがどうにも得体の知れない認識ズレを起こして引き込んでくる。

はじめ『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックのようなダメ主人公っぽいのかなと思って観てたけど、まあわりと主人公は通してクールだった。彼女もかなり好意的に支えてくれてるし。そのへんは友人達が3枚目の役どころかな(『ハイフィディリティ』のジャックは主人公の友人という立ち位置だったからそれに近いのか)。いや、でもやっぱり主人公にこそ根本的なダメオーラがある感じかな。

映像として良くできていて、映画として見たらどうなのか分かんないけど、Webでタダで見れるということではずいぶんクオリティ高いなあと感じた。音楽の使い方や、カメラワーク、そして編集技法などかなりこなれていて、映像を流しているだけでも気持ち良い。この手の成熟したドラマ文化を感じさせてくれる。


競技感としてはフードファイトに近いのかな。フィジカル至上なメジャーで強いスポーツがあるという前提で、思う存分カウンターを当てられるサブ層の強さが生まれるのかなあと思った。

特に要点を上げてみると、

  • 体格とか関係ない。
  • ルールが単純明確。
  • 観客として勝敗ポイントが判断しやすくて見やすい。
  • にらみ合う二人が絵になる。
  • 1試合の時間が集中力が切れるほどは長すぎず、かと言って短すぎることもなく勝敗の満足感を得られる長さ。

うーん、ライトゲーム的な要素? そんな文脈で捉えるのは嫌気がさすけど、でもそうして考えると、あくまでそれはメジャーからの租借で成り立ってるって感じだよな。メジャーがサブに活力を与え、そしてサブがメジャーに還元する。これはそういう健全な共存性がなんとなく背後に感じられるのが、見ていて心地いいんだよな。(「俺はstaredownのチャンピオンだ」とバーで女を口説いても、「staredwon? にらめっこ? バッカじゃない」とフラれるサブ階層っぷりとか)



主人公Philip(左)と、王者Tony(右)。

焦点、集中力、そして持久力を要する戦い。
試合時間はおよそ5〜10分ほどで決着。レコードは15分近いらしい。


Tonyの必殺技(?)「Jamming the Crankshaft」
急に顔を上げてくる。非常にうざったい感じ。


んーしかし全部が全部ネタなのかもなあ。良く分からん。
あとまばたきしない病気の人とか出場してきたら困りそうだなあとか。