馬と魔法
馬が見たい、とIさんが言うので、IさんとIさんとIさんとHさんとNさんで中山競馬場に行った。
競馬をやるのは久しぶりだから、準備のために前の週からテレビ中継を観始めたのだけれど、これが非常に面白かった。なんというか「仮説を立てて予測して、30分後にはフィードバックが確実に来る。それを繰り返す」そうしたインタラクションが実に良くできたものだなと思った。
インタラクションのための入力として「長く真剣に仮説を立てる」という行為は、その見返りの報酬に支えられないと難しいし、仮説を検討できるほどのデータ背景も必要になってくる。そうしたヘビーな入力ができるのはまあひとつ競馬が持つ懐の深さとシステムだろうなーと改めて感じた。
「こんな面子じゃ全然分かんないなー」というレースも発走すれば確実に結果を迎えるわけで、そうした競馬界側からのアウトプットを受け取ることでゼロが1になり、2になっていくのはだいぶイージーに心地良い。
というわけで、中山競馬場に到着。
ぽかぽかでいい天気。芝が青い。
震えてしまったこと
中山4日目 9R 4歳上1000万下 房総特別 芝1200m
アグネスレプトン
鞍上は蛯名。
前日の土曜日だったら条件クラスの芝コース長距離戦という自分の得意なレースが多かったのだけれど、この日はメインの重賞を除いてダートや短距離が多く、ぱっと見では自分が買えるようなレースが無かった。けれども、結局このレースは手を出してしまった。
- 条件戦とはいえ、スプリント戦でオペラハウス産駒が一番人気という危うさ
- これまで脚部不安のためダートだけ使ってきたエンドスウィープ産駒のアグネスレプトンが初めての芝
- Mr.P×Halo×Nijinskyだなんて、レプトンの血統いいじゃない
- アグネスレプトンの単勝人気が15倍近く
というような考察で「じゃあアグネスレプトンを買おうか」と心をのせてみたところ、どうもカメラ撮影がしづらくて、気付いてみたらいつのまにか自分の手がぶるぶる震えていた。足までもガクガク震えてた。
まだ馬券を買ってもいないし、買おうとしてる金額もたいしたものじゃないのに、全身の震えが止まらなくてびっくりしてしまった。それがいったいなんでなのか、自分にも良く分からなくてその後ずっと考えてた。
きっと「不確実なものに心をのせる」という行為が恐ろしかったんだろうか。競馬なんて不確実なものだけれど、自分が買うときはなるべくそれが確実になるようにしてる。けれど今日はイベントで来てるものだから、1レースくらい買っとこうと敷居を下げた判断をしたために、体が拒絶したんだろうか。うーん。
日常的に社会生活してても震えることなんてまず無いよね。これからは震えるような仕事したいね、いやしたくないか。35を過ぎれば安定した生活を捨てたくなるのが男のサガだというのは柳沢きみおマンガの醍醐味なわけで。
第9Rパドック。
3着狙いの単・複で買って、結果は届かず4着。短距離戦はやっぱりこわい。
メインレース
中山4日目 11R 3歳OP 弥生賞(G2) 芝2000m
- アグネスタキオン/サンデーサイレンス
- Caerleon/Nijinsky
- Lord Gayle/Sir Gaylord/Turn-to
- Caerleon/Nijinsky
単勝1倍台と、前日のウオッカ同様に若駒の仕上がりで抜けた存在。
期待のマンカフェ産駒の一頭。2着に健闘。
モチ。
もちろん小田切氏の持ち馬。「粘る」し「伸びる」し、上手いことゲンの良い名前。
後ろに「餅」と一言の横断幕。
Indian Charlieの仔、サムライタイガース。
- Indian Charlie/In Excess/Siberian Express/Caro
- Red Ransom/Roberto
- Diamonds Are Trump/Bold Bidder/Bold Ruler
- Red Ransom/Roberto
仏、英、米と渡り流れてきた血脈が日本に。芝なんだかダートなんだか。
3番人気のタスカータソルテ。
- ジャングルポケット/トニービン
- ノーザンテースト/Northern Dancer
- Irish Ruler/Bold Ruler
- ノーザンテースト/Northern Dancer
サイデーサイレンス飽和倦怠ムード漂う中、トニービンの系統は相対的に芯があるというか、活躍してくれると心地良い。
んー。
なんていうか主観的な血統観をPhalarisからざっくり書いてみるとこんな感じで、サンデーサイレンスまわりに着目すればHalo対Robertoっていう感じで捉えている現状。Robertoの系統のほうが軒並み好み(タフっぽさ?)なぶん、どうもHaloのほうは好きになれないというか、信頼しきれないっていうか、うーん。
そこから一歩引いてみれば、Nasrullah系統Grey SovereignのほうのCaroやトニービン、Native Dancer方面ではミスプロ一派が、もちろんNearcticから成るノーザンダンサーの大勢力も居るという構成で、いかにこうサンデーサイレンスの土壌を穿つか、という観方なんだろう。
しかしホント、久々の競馬は繁殖馬も競走馬もサンデーサイレンスばかり。繁栄しすぎてしまってサイアーが育ちにくいだろうから、また10年、20年も経ってくると現在のノーザンテースト直系のように大事にしたいと思うようになるんだろうか。
発走準備。
直線。
ゴール前。
前日のチューリップ賞のこともあり、1倍台のスターホースが居るときはまあ買うレースより観るレースだよなと気楽に臨んだ。
弥生賞終了後、最終レース前。